の旅エッセイ


四国八十八ヶ所の旅NO.5
20番鶴林寺

立江寺を出て40分位でタクシーの乗り替場に着く。
小雨の中でタクシーに乗る中型の車内に大人が5名乗り込まなければならない。
私はスマートな人の乗っている車に乗ろうとウロウロとしている中に比較的太った方々と
同乗する。
女の人も男の人も私達の年齢になるとスマートと言える体型の人は
余りいないものだ。
助手席に2名乗り、後席に3名。
私は運転席の邪魔にならないように助手席で体の位置を苦心した。
15〜16分、つづら折の山道を走り車は着いた。
山はうっそうと木が生えて修行の山と言った感じである。
800m程歩くと山門が見え、寺には美しい鶴の像があると聞いたので一生懸命登っていく。
急な坂道が続くので息が切れる。
たかが800m位と思っていたが、どうしてどうして何qも歩いたような気がする。
私より年輩の男女が頑張っているのにつられて、ようやく山門に来られた。
山門の中には運慶の作の仁王さまが見事な姿を見せてくれた。
そこから100m程で本堂があった。
境内は広く本堂の前には左右に鶴の像があり疲れた心身にホッとしたのを与えてくれた。
山気が私の心に安らぎを感じさせられた。
山中は清潔であった。
ゆっくり参拝をすませて下山する。

21番太龍寺

この参道が一番しんどかった。
鶴林寺の参道でかなりバテて、大龍寺への道に向かった。
那賀川を車窓から見ながらしばらく走るとバスの駐車場に着く。
タクシーに乗り換えて602mの山頂にある寺に向かう。
参道は寺の専有で中型タクシーが一台ようやく通れる程度の所もある。
そのような狭い道を15分位で終点に到着する。
そこから1q程で山門に着くそうであるが胸突きの坂道が続いている。
前の鶴林寺でかなりバテているのに、又しんどい目をして行かなければならないかと思い
いっそ参拝をやめてやろうかと考えた。
が、森さんが悪い足をひきづりながら歩いているのを見ると弱音をはいたら駄目だ
亡き人の法要が出来ないと考え直し、歩を進めた。
雨は小ぶりとなり、傘をささなくても歩けるようになっていた。
道路には山門まで後何mと道標が立っていた。
足がフラついてくるし、汗は出てくる、たまらなくなって道ばたに落ちていた枯れ枝を杖にして歩く。
金剛杖は伊達にあるものじゃないなあと感心した。
あえぎながら山門に着く。
そこから本堂まではるかに距離がある。
その坂道も胸つきどころか顔つき八丁といったところだ。
坂道を足をようやく持ち上げて歩くといった格好で登って行く途中、水の流れが聞こえてきた。
立ち止まってそばにいた人が
"天気がよかったら鶴林寺がここから見えて
川も本当にすばらしいですよ"
と話しかけてくれた。
何回も巡拝をしてきた人でよく知っているのであろう。
あたりは霧雨に包まれて何も見えない
枯れた草木のにおいを嗅ぎながら目の前に迫ってくるような坂道を伏うような格好で
一歩一歩本堂に行く。
境内は鶴林寺より広く杉の大木が堂のバックを飾っている。
数多くのお堂があり威容をなしていた。
足をひきづりながら登ってきた甲斐があったというものだ。
納札を終え下山にかかる。
本堂の入り口から山門までの坂道に来るときに出会った作業員が道のほとりに
苗木を植えていた。
しゃくなげの苗木であった。
何年かするとしゃくなげの名所になることだろう。
下りは楽だったが足を痛めないよう、そろそろ歩く。
タクシーで麓に下りる。
バスに乗り込む。皆疲れた顔をしている。
渡辺さんはこの太龍寺が一番の難所です横峰寺や他の寺はこれほどきつい坂はありませんと
語っていた。


次回に続く


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